3月の「本の場」ウェビナーでは鳥取県立図書館・小林隆志館長をお迎えし、5年ぶりの改定作業が進んでいる「鳥取県立図書館が目指す図書館像(第3次改定版)」の中身について、3週連続で詳しくお話を伺います。
「図書館像」改定は、年初に案が公開されて県民からの意見公募が行われていて、1月末にそれが締め切られた段階です。令和5年度からの新たな5年間に目指すべき図書館像の、最終とりまとめが現在行われています。
改定案では、鳥取県立図書館のこれまでの分厚い積み重ねをベースに、近年の社会の変化や技術の進歩、それらに伴う住民ニーズの変化を先取りしながら、およそ考え得る「いま公共図書館にできること・できそうなこと・実行できれば地域にとって文化的に価値の高いこと」が、具体的なメニューとしてすべて出揃っているように見えます。
「仕事とくらしに役立つ図書館」「人の成長・学びを支える図書館」「鳥取県の文化を育み世界に発信する図書館」「知の拠点となる図書館」の4つの柱の実現を、「ネットワーク」「専門性」「発信力」「保存と公開」の4つをキーワードとして目指していく、という大枠だけを読むと、まあそうですよね、という感じですが、詳細を読んでみるとその充実度合、射程の範囲には目を見張らせられます。
たとえば、第3の柱「鳥取県の文化を育み世界に発信する図書館」の「現状と課題」のところには、次のような記載があります。
「近年、出版界から図書館に対して複本の持ち方などについて問題提起がなされています。また、ネット通販や大規模書店の隆盛が地方文化の画一化を招いているとの指摘もあります。もともと図書館と書店、出版社は相互補完的な関係であり、文字・活字文化振興のパートナーです。実際鳥取県では、地元書店などが中心となって地方出版文化の振興に尽力してきた長い歴史があります。地方の文字・活字文化振興のため、今後の図書館、書店、出版界の相互発展に向けた連携は、図書館界にとっても大きな課題です。」
ここまで出版界への接近を標榜されている図書館は、国内ではちょっと思い浮かびません。
あるいは、第4の柱「知の拠点となる図書館」の「現状と課題」では、
「デジタル化への対応は、住民参加型デジタルアーカイブの実現や、子どもから高齢者、障がい者、外国人等あらゆる利用者に応じた読書バリアフリーの推進、利用の自由度を高めたオープンデータ化等の実現、そのための人材の育成など、今後の図書館にとって重要な課題です。」
と謳われ、その「今後の方向性」として、
「横断検索システム、デジタルアーカイブシステム、電子書籍システム等において、市町村立図書館等のデータを網羅的に検索できるシステムの実現」
「若年層など幅広い世代へのアピールの利活用を視野に入れたICT技術の活用等による新たなサービスの検討」
等々のチャレンジングな施策が列挙されています。
県立図書館として、基礎自治体の図書館や学校等を着実に支援しながら、県内全域・あらゆる県民に貢献していこうとされるその意欲的な姿勢は、10数年来の知見やノウハウ、さまざまな社会的つながりを日々耕し続けて来られた土台の上で、初めて成立しているのだと思われます。
「本の場」では、鳥取県立図書館が、DXを始めとした大きな社会の変化に対して迅速的確に対応し続けていくために時間をかけて育まれてきた情報収集分析や企画立案展開の能力、さらにそれを可能にしている豊かな社会的ネットワークに焦点を当てながら、注目すべき今後の個々の具体策について、その背景や目論見をじっくり伺ってまいります。
各回の内容詳細は、当サイトで近日ご案内いたします
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※毎月2~4回のウェビナーに参加できます。
※お申込みいただいた方全員に後日オンデマンド視聴が可能な動画アーカイブを配信いたします。リアルタイム参加のご都合がつかない場合でもご視聴いただけます。(オンデマンド視聴が可能な期間は配信後1週間です。)
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