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これからの図書館について、垣根を越えて考える

「本の場」は、図書館と地域をテーマとするオンラインサロンです。「local knowledge 新しい教養のフレームワーク」を構成するサブドメインのひとつとして展開していきます。ほぼ毎週木曜夜にウェビナーを開催し、地域を立て直すこれからの図書館についてみなさんと一緒に考えていきます。ウェビナーの予定はこのサイトで告知します。

図書館という施設は、公共図書館であれば地域における生涯学習、学校図書館であれば学校教育や子どもの成長、大学図書館であれば学習支援や研究支援、専門図書館であれば当該業界や文化の発展というように、それぞれの守備範囲において欠かすことのできない使命をもって設置運営されています。そしてどの館種であれ、図書館はこれまで、近代社会の成立と表裏一体だった本というメディアの隆盛と軌を一にして発展してきました。
今世紀に入って本格的なインターネット社会が到来してから、本というメディアが社会に占めるポジションは少しずつ変化してきています。人が必要とする知恵や情報そのものの量や質が変化したのではなく、人がどこからどうやってそれらの知恵や情報を手に入れるか、その方法に幅広い多様性が生まれてきたのです。図書館という施設に求められる役割や効能も、それに応じて変わってきています。

一方、「失われた20年」余を通じて、産業構造の変化や少子高齢化の急速な進行によって、地域のあり方にも大きな変化が訪れています。新型コロナウイルス感染症もまた、私たちの暮らしに対して不可逆の変化をもたらしつつあります。
これら社会の質的な変化は、国全体として見れば不透明で悲観的にならざるを得ないものに映りますが、個々の地域にとってはまだまだ価値中立的です。個別の政策やインフラ整備によって、或いは企業や工場やショッピングモール等の誘致によって、転入者が増え活気が戻っている地域も全国にちらほら見つかります。東京一極集中だった出版産業でも、地方に移住して精力的な出版活動を繰り広げる方が徐々に増えています。まだまだ業種は限定的かもしれませんが、都会と地方の二拠点生活もずいぶん身近なものになってきました。

館種を問わず現代の図書館の使命を一義的にまとめれば、自由と幸福を追求するあらゆる人々の知る権利に対して資料と施設によって幅広く応えていくこと、になります。人々の知的ニーズを満たし、地域全体の知的活動を刺激し活発にしていくことは、即ち地域を豊かにすることにほかなりません。勉強は言うまでもなく、仕事も余暇もその充実のためには、適切な情報をとり入れ知恵を身につけながら他者と交流していくことが不可欠です。そう考えると、図書館という施設とそこでの活動が、地域を立て直す鍵を握っていると言っても、あながち大袈裟すぎることもないでしょう。
メディアや社会の状況が大きく変わりつつある中で、図書館もまたその使命を実現するために、資料や施設や運営のあり方をバランスし直す必要があるのです。

「本の場」では、そんな大変動の中でピンチをチャンスに変えるために、図書館と図書館以外のさまざまな世界との交流をもっと活発にしたいと考えています。具体的な各地の事例をとり上げながら、行政、学校、博物館や美術館、大学、出版・建築・IT・教育等の産業界といった図書館に隣接する世界で活躍する方々を積極的にお招きして、地域に本当に役立つこれからの図書館像を、みんなで一緒に思い描いていきたいと思います。

主催するのは本棚演算株式会社です。大手書店の外商畑で大学図書館や公共図書館、専門書出版社の方々と長年仕事をしてきた今井が、2022年1月に立ち上げました。「本で地域を豊かにする」ことがミッションの会社です。
「本の場」では、これからの図書館と地域について地に足をつけながらできるだけ多様な視点で自由に考えていくために、企画運営に協力してくれる方を常に広く求め続けていきます。さしあたっては、二人の協力者をお迎えしました。武庫川女子大学附属図書館の辣腕司書として鳴らした川崎安子さんと、この「local knowledge」をはじめいくつものウェブメディアを手掛けるスタイル株式会社の竹田茂さんです。

図書館や自治体で働いている方々、これからの図書館や地域のあり方に関心をお持ちの方々に、広くお集まりいただければ幸いです。

ORGANISER

今井太郎(いまい・たろう)
今井太郎

本棚演算株式会社代表取締役。京都府長岡京市生まれ。京都大学文学部哲学科卒。株式会社紀伊國屋書店に30年余勤務。主として外商部門で、法人営業、専門書仕入のほか、図書館向け電子書籍サービスの構築や公共図書館運営業務を担当した。新しい荒尾市立図書館(熊本県、2022年4月開館)の整備に深く携わり、地域に根差した公共図書館の将来性に開眼。

PLANNING COOPOPERATOR

川崎安子(かわさき・やすこ)
川崎安子

兵庫県西宮市生まれ。修士(大学アドミニストレーション)。武庫川女子大学ほか司書課程非常勤講師。30年間、大学図書館における学習・研究支援を中心に、司書課程の教学マネジメント、図書館改修、地域連携、産学連携等に従事。ライフワークは国内外の図書館見学。これまでに約40か国800館を訪問。IRI・2022年度Library of the Year選考委員。

竹田 茂(たけだ・しげる)
竹田 茂

スタイル株式会社代表取締役。日経BP社でのインターネット事業開発の経験を経て、2004年にスタイル株式会社を設立。2010年WirelessWireNewsを創刊。早稲田大学大学院国際情報通信研究科非常勤講師(1997〜2003年)、独立行政法人情報処理推進機構・AI社会実装推進委員(2017年)、著書『会社をつくれば自由になれる』(インプレス/ミシマ社)、編著に『ネットコミュニティビジネス入門』(日経BP社)、『モビリティと人の未来 自動運転は人を幸せにするか』(平凡社)、など。

ARCHIVES

本の場 local knowledge アーカイブズは準備中です。

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