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荒尾市ってどんなところ? ―裏側から見た新図書館整備事業

本の場

2022/06/07

6月2日に開催しました「本の場」ウェビナー第1回「新荒尾市立図書館ができるまで。そして、これから①」では、荒尾市教育委員会の方々から、図書館移転整備事業の実情をお話しいただきました。当事者ならではのお話を、一部抜粋でご紹介します。

荒尾市教育委員会生涯学習課 宮脇浩司さん

今日は「新荒尾市立図書館ができるまで」ということで、荒尾市の情報も含めて、私たちがどんな部分に苦労してきたかというところを少しでもご理解いただければと思います。ほんとうに濃密な時間を過ごさせていただきましたので、はい、またのちのちご説明いたします。

石炭の街から緑と賑わいのある観光商業文化都市への脱皮、ということで、現在は市長を筆頭に、市の重点施策として、切れ目のない充実した子育て環境をつくるですとか、誰もがつながりを持ち健康で活き活きとした暮らしをつくる、雇用の確保と所得の向上により安定した暮らしをつくる、荒尾ファンをつくるとともに移住しやすい環境をつくる、先進的で持続的な街をつくる、というようなプロジェクトを推進しているところです。

令和元年8月に、あらおシティーモールの運営会社の1つであります荒尾シティプラン株式会社の筆頭株主がゆめタウンの株式会社イズミですけれども、そちらの方から荒尾市に対して、紀伊國屋書店との連携について提案を受けております。そこから、荒尾市とイズミ、紀伊國屋書店の3者で市立図書館の移転について協議を重ねていきました。事業スキームの検討を重ねまして、令和2年の11月に紀伊國屋書店、荒尾シティプラン、荒尾市の3者で連携協定を締結しております。

移転整備の効果として、挙げていた点が3つあります。まず第一に、図書館の質的向上です。新しくなる、広くなるということで、生涯学習の拠点施設となるような図書館をつくるということで考えていきました。
2つめが早期開館と投資コストの抑制です。建てるよりも、かなり安く予算的には収まっております。だいたい、試算すると半額くらいでできていることになります。維持管理費なんかも家主が管理しますので、長い目で見ればエレベーターの管理だったりエスカレーターの管理だったりは家主の方で行う、図書館は図書館部分だけを管理すればいい、ということでかなりコストが抑制できるというように考えております。令和2年の11月に協定を結んだんですけれども、それから1年5ヶ月という短期間で開館しております。
もう1つがあらおシティモールの活性化ですね。図書館が移ることによってお客様が増えて、またシティモールの魅力も向上していくのではないかというふうに考えました。

市にとってこういう民間企業との連携はどうだったんですか、というご質問をいただいてたんですけど、ここまで民間の方とタッグを組むというのは私たちも初めてのことでした。ほんとにどうなるか不安な気持ちはあったんですけど、令和2年のたしか12月だったと思いますが、株式会社船場の小倉さんと初めてお会いしてご挨拶した時に、既に平面図の素案を持って来られてたんですね。まあそこからだいぶ変わりはしましたけど、「こんな感じでどうでしょうかねぇ」みたいな感じで。「すごいっ」と私たちは驚かされたかたちで、なんとかいけるんじゃないかと確信したところです。
そのあと年明けには基本構想を提案すると言っていただきましたので、そのスピード感に対する驚き、年が明けて1月にケイ・ニー・タン・アーキテクツの川上さんから基本構想のプレゼンを受けたんですけど、そこはほんと市の関係者みんなそのデザイン構想に感動した、ということがございます。これだったら大丈夫なんじゃないか、と私たちは思っていたんです。
その中でデジタルライブラリーだけは「どうなるかな」というのがあったんですけど、そこをご担当されていたのが紀伊國屋書店さんでありまして、「ちょっと待ってください」というお話でした。「じゃあ待ちます」ということで、しばらく時間が空いたというのはあります。その後しばらくしてご提案があったのが今のデジタルライブラリーのかたちです。

設計を進めていく中で上層部から本市の歴史文化を伝えるエリアをつくってほしい、と言われました。民俗芸能や世界遺産、郷土の偉人、伝統工芸品なんかもありますので、このあたりを取り込んだかたちで考えてほしい、というのと、あとは、行政が「はい、つくりました、どうぞ」というかたちじゃなくて、いろんな方々、市民だったりいろんな関係する団体を巻き込んでみんなでつくりあげるような図書館をつくってほしい、というものでしたので、ここからすごくいろんな業務が舞い降りてきました。

荒尾市教育委員会生涯学習課 馬場理恵子さん

以前の図書館の年間の来館者が4万人くらいだったんですが、新図書館には、4月の時点で1ヶ月で38,000人、5月の1ヶ月で25,000人、合わせて63,000人くらいの来館者が来ています。いちおう15万人を目標にしていたので、8月9月くらいには達成しそうなので、達成したらちょっとなにかイベントをしないといけないなと思っています。あと年齢別で利用者を見てみると、小学生と30代40代の方がぐっと去年に比べて増えています。小学生とかを連れて保護者の方がお買い物がてら来てくれている、というのが数字としては見えてきているような感じです。

これからやろうとしている新図書館での新たな試みが、デジタル学習室を活用したオンラインでの外部講師による遠隔授業とかですね、市でオリジナルでつくった電子書籍があるのでそういったものをオンラインで或いは録画をしてよみきかせをしたり、あとは地元の偉人宮崎兄弟を、小学館さんでいまデジタルの漫画をつくってもらってますけれども、出来上がったら電子書籍化して学校のタブレットで子どもたちが見れるようにするとか。デジタルライブラリーの中にいろんなデジタルで発信できるところがありますので、いろんな学校でつくったものとかも展示とかをできるように学校の方へお声掛けをしています。

図書館と学校がつながるというのを市長も教育長もいつも言われるんですが、やっぱり私は人と人がつながるのがつながりとしてはいちばん重要かなと思うので、図書館の司書さんと学校司書さんが連携するような、学校司書さんは教育委員会の総務的なところの所属になっていて、図書館は生涯学習課、うちの、しかも指定管理で民間さんなので、つながってるようでつながってなかった。私たちがもっとつなげないといけなかったんですけど、なのでそこを今回この図書館ができたのを機につなげていこう、と。早速4月に研修を1回やりました。

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